サの足音がすぐ傍《そば》に聞こえた。街灯の光にすかして見ると、古文庫館へ通ずる街路の方に、勢いのいい年若な青白い顔が認められた。
それはオンム・アルメ街にやってきたガヴローシュだった。
ガヴローシュは上の方をながめて、何かさがすようだった。彼はジャン・ヴァルジャンの姿を明らかに見たが、何の注意も払わなかった。
ガヴローシュは上の方をながめた後、こんどは下の方をながめた。彼は爪先《つまさき》で伸び上がって、一階の戸口や窓に触《さわ》ってみた。けれどもそれらは皆閉ざされて、※[#「金+饌のつくり」、第4水準2−91−37]《かけがね》や錠でしめ切ってあった。その閉鎖された人家の前面を五、六軒調べてみた後、浮浪少年は肩をそびやかして、独語をもらした。
「畜生め!」
それから彼はまた上の方を見上げ始めた。
ジャン・ヴァルジャンは一瞬間前まではだれにも口もきかず返事もしそうにない心地に沈んでいたが、今やその少年に何とか言ってみたくてたまらないような気持ちになった。
「小僧さん、」と彼は言った、「どうかしたのかい。」
「腹がすいてるんだ。」とガヴローシュはきっぱり答えた。そしてまた言い添
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