フが目に触れた。
食器棚の上に斜めに立ててある鏡の中に、次の数行を彼は正面に認めて、明らかにその文字を読んだのである。
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いとしき御方、悲しくも父はすぐに出発すると申します。私どもは今晩、オンム・アルメ街七番地に参ります。一週間すればもうロンドンへ行っておりますでしょう。――六月四日、コゼット。
[#ここで字下げ終わり]
ジャン・ヴァルジャンははっとして立ち止まった。
コゼットはこの家に着いて、吸い取り紙を食器棚《しょっきだな》の上の鏡の前に置いたまま、煩悶《はんもん》のうちに沈み込んでそれを忘れてしまっていた。前日プリューメ街を通る若い労働者に頼んだあの数行の文句を自らしたためてかわかすために押しあてた、ちょうどその面が開いているのも、そのままにして気づかなかった。文字はすっかり吸い取り紙の上に残っていた。
鏡はそれを映し出していた。
その結果、幾何学でいわゆる対称図形をこしらえていて、吸い取り紙の上に逆になった文字は鏡の中にまた順になって、自然の位置に返っていた。ジャン・ヴァルジャンは前日コゼットがマリユスに書いた文字をそのまま眼前に見た。
そ
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