Aあたしはその鉄砲の口に手をあてたわ。ほんとに変ね。でもあなたより先に死にたかったからよ。弾《たま》を受けた時、あたしはここまではってきたの。だれにも見つからず、だれからも助けられなかった。あたしあなたを待ってたわ。きなさらないのかしら、とも思ったの。あああたしは、上衣をかみしめたり、どんなに苦しんだでしょう。でも今はもう何ともない。あなたは覚えていて? あたしがあなたの室《へや》にはいって鏡に顔を映してみたあの日のこと、それからまた、日雇《ひやと》い女《おんな》たちのそばで大通りであなたに会った日のことも。小鳥が歌ってたわ。そう長い前のことでもないわ。あなたはあたしに百スー([#ここから割り注]五フラン[#ここで割り注終わり])下すったわね。あなたのお金なんかほしいんじゃない、とあたしは言ったでしょう。あなたせめてあの金を拾ったでしょうね。あなたは金持ちじゃないんだもの。あたしあの金を拾いなさいとあなたに言うのを忘れたのよ。日が照っていて、寒くはなかったわね。マリユスさん、あなた思い出して? おおあたしほんとにうれしい。みな死んでしまうんだわ。」
 彼女の様子は、気も狂わんばかりで、
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