緕メよりあなたの看護の方がいいの。あたしの傍《そば》にこの石の上にすわって下さいな。」
彼はその言葉に従った。彼女は彼の膝《ひざ》の上に頭をのせ、その顔から目をそらして言った。
「ああ、ありがたい。ほんとによくなった。もうこれであたし苦しかない。」
彼女はちょっと口をつぐんだ。それからようやくに顔をめぐらしてマリユスをながめた。
「ねえ、マリユスさん、あなたがあの庭にはいるのがあたしはいやだったのよ。ばかげてるわね。あの家をあなたに教えたのはあたしだったもの。それにまたあたしはこう考える方が本当だったかも知れないわ、あなたのような若い方は……。」
彼女は言葉を切った。そして確かに頭の中にあった暗い思いを一転して、痛ましい微笑を浮かべながら言った。
「あなたあたしを不綺麗《ぶきりょう》な女だと思ったでしょう、そうじゃなくて?」
彼女は続けて言った。
「ねえ、あなたはもう助からない! 今となってはだれも防寨《ぼうさい》から出られはしないわ。あなたをここへ呼んだのはあたしよ。あなたはどうせ間もなく死ぬにきまってるわ。あたしそれをちゃんと知ってるの。だけど、人があなたをねらうのを見た時
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