キることの前に戦慄《せんりつ》しながら、彼は防寨《ぼうさい》の中を見回した。暴徒らは身動きもせずに小声で語り合っており、期待の最後の局面を示す沈黙と騒擾《そうじょう》との中間の気が漂っていた。彼らの上方、四階のある軒窓には、妙に注意を澄ましてるような傍観者とも立ち会い人ともつかない男の姿が見えていた。それはル・カブュクに射殺された門番であった。舗石《しきいし》のうちに囲まれた炬火《たいまつ》の反映で、下からその頭がぼんやり認められた。色を失い、身動きもせず、物に驚いたらしい様子で、頭髪を逆立て、開いた目を見据え、口をぼんやりうち開き、好奇心に駆られたような様子で街路の上にのり出して、炬火《たいまつ》の陰惨なおぼろな光に照らされてるその顔ほど、世に異様なものはなかった。あたかも既に死んだ者がまさに死なんとする人々を見守ってるかのようだった。その頭から流れた長い血のしたたりが、赤い糸のようになって軒窓から二階の所までたれ、そこで止まっていた。
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第十四編 絶望の壮観
一 軍旗――第一|齣《せつ》
まだ何事も起こってこなかった。サン・メーリーの会堂で十
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