、か。かかる戦いは平和を確立するところのものである。偏見、特権、憶説、虚偽、強請、濫用《らんよう》、暴行、不正、暗黒、などの巨大な城砦《じょうさい》は、なおその憎悪の塔を聳《そび》やかして社会の上に立っている。それを打ち倒さなければならない。その奇怪なる塊《かたま》りを破壊しなければならない。アウステルリッツにて勝利を得るのは偉大なることである、バスティーユの牢獄を占領するのは広大なることである。
 だれでも自身に親しく感ずることではあるが、魂こそは、普遍性と統一性とをともに有する驚くべきものであって、最も危急なる極端にあっても、ほとんど冷然と推理し得る不思議な能力を有するものである。そして慟哭《どうこく》せる感情と深い絶望とは、その最も悲痛な独語の苦悩のうちにあってもしばしば、問題を取り扱い論議するものである。論理は痙攣《けいれん》と相交わり、論法の緒《いとぐち》は思想の痛ましい動乱のうちにも切れることなく浮かんでくる。マリユスの精神状態はちょうどそういうところにあった。
 かく推理し、圧倒せられ、しかも意を決し、しかもなお躊躇《ちゅうちょ》しながら、一言にして言えば、まさになさんと
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