サの広い墳墓の上に広大な喪布をひろげたようだった。
 まだまったく政治的のみなる戦いが、既に多くの革命の事変を見たその一郭のうちに、しだいに準備されつつある間に、青春と秘密結社と学校とが主義の名において、また中流市民階級が利害の名において、互いに衝突し駆逐し争闘せんとして接近し合ってる間に、各人が足を早めて、危機の最後の決定的瞬間を喚《よ》び起こしてる間に、一方、その致命的なる一郭の外遠くに、幸福|栄耀《えいよう》なるパリーの光耀の下に隠れてるその古いみじめなるパリーの底知れぬ洞窟《どうくつ》の深みに、民衆の陰惨なる声の重々しくうなるのが聞こえていた。
 それこそ恐るべきしかも聖なる声であって、獣の咆哮《ほうこう》と神の言葉とから成り、弱者をおびえさし賢者を戒め、獅子《しし》の声のごとく地から来るとともに雷電のごとく天から来るものであった。

     三 最後の一端

 マリユスは市場町に達していた。
 そこは近傍の街路よりも、いっそう静かで暗くひっそりしていた。あたかも氷のごとき墳墓の静けさが、地からいでて空の下にひろがってるかと思われた。
 けれども一条の赤い明るみが、シャンヴル
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