[とルイ十五世広場とを通り、リヴォリ街にはいった。そこではまだ、商店は開いており、拱廊《きょうろう》の下にはガス灯がともってい、女らは店で買い物をし、レーテル珈琲《コーヒー》店では[#「レーテル珈琲《コーヒー》店では」は底本では「レーテル珈琲店《コーヒー》では」]客が氷菓子を食べ、イギリス菓子屋では人々が小さな菓子を食っていた。ただ四、五の駅馬車がプランス旅館やムーリス旅館から大駆けで出発していた。
 マリユスはドゥロルム通路からサン・トノレ街へはいった。そこでは、商店は閉ざされ、商人らは半ば開いた扉《とびら》の前で話し合ってい、人通りはまず絶えず、街灯はともり、二階から上の窓はすべて平素のとおり光がさしていた。パレー・ロアイヤルの広場には騎兵がいた。
 マリユスはサン・トノレ街をたどっていった。パレー・ロアイヤルから遠ざかるに従って、光のさす窓は少なくなり、商店はすっかり閉ざされ、入り口に立って話をしてる者もなく、街路はしだいに暗くなり、同時に群集はしだいに密集していた。というのは、通行人らはもう一つの群集だったからである。群集の中にはだれも口をきいてる者は見当たらなかったが、しかも
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