チて、なあに金を食い物にしてるんだ。腹いっぱいつめこんでいやがるんだ。」

     二 行進中のガヴローシュ

 街路のまんなかで手に撃鉄のないピストルを持って振り回すことが、何か公の務めででもあるかのように、ガヴローシュは一歩ごとに元気になってきた。マルセイエーズを切れぎれに歌いながら、その間々に叫んでいた。
「うめえぞ。俺《おれ》はリューマチにやられて左の足が悪い。だが皆の衆、俺は愉快だ。市民らは用心するがいい、奴《やつ》らを引っくり返す歌を俺が吐きかけてやらあ。刑事が何だい、犬だろう。おい犬どもに一つ敬意を表してやろうじゃねえか。俺はピストルに奴らを一匹ほしいんだがな([#ここから割り注]訳者注 仏語にては、犬という語とピストルの撃鉄という語とは共に同じ chien である[#ここで割り注終わり])。俺《おれ》は大通りからきたんだが、皆の衆、もう熱くなってるぜ、水玉が飛んでるぜ、煮えてるぜ。鍋《なべ》の泡《あわ》をしゃくっていい時分だ。みな進め! きたねえ血で溝《どぶ》をいっぱいにしろ。俺は国のために身をささげてるんだ。もう妾《おんな》なんかには会わねえ、ねえ……うん……そうだ
前へ 次へ
全722ページ中534ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング