gー・シュー街までやって行った。見るとその街路にはもう店は一軒きり開いていなかったが、おもしろいことにはそれが菓子屋だった。まったく未知の世界にはいり込む前になお林檎菓子《りんごがし》が一つ食える、天の与えた機会であった。ガヴローシュは立ち止まり、上衣をなで回し、ズボンの内隠しを探り、ポケットを裏返したが、金は一スーもなかった。彼は叫び出した、「助けてくれ!」
 最後の菓子を一つ食いそこなうのは、実につらいことである。
 それでもガヴローシュはなお続けて進んでいった。
 間もなく彼はサン・ルイ街までやってきた。パルク・ロアイヤル街を横ぎっていると、林檎菓子《りんごがし》を食えなかったことがいまいましくてたまらなくなり、ま昼間芝居の広告を思う存分引き裂いて腹癒《はらい》せをした。
 それから少し先で、財産を持ってるらしいりっぱな一群の人々が通るのを見て、彼は肩をそびやかし、感想めいたにがにがしい言葉を吐き出すようにして言った。
「あの金持ちのやつら、妙に肥《ふと》ってるな! 口いっぱいほおばって、ごちそうの中にころがってやがる。いったいその金をどうするのか聞きてえもんだ、自分でも知らねえ
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