ィける最初の雲であった。
マリユスはまず第一にこう言った。
「どうかしたの?」
彼女は答えた。
「あのね。」
そして彼女は踏段の近くの腰掛けにすわって、彼がそのそばに震えながら腰をおろしてる間に、先を続けた。
「今朝《けさ》お父さんが私にも用意をしておけっておっしゃったの。用があるので、私たちはここを出立することになるだろうからって。」
マリユスは全身震え上がった。
生涯の終わりにおいては、死ぬことはすなわち出立することである。生涯の初めにおいては、出立することはすなわち死ぬことである。
六週間前からマリユスは、少しずつ、徐々に、しだいに、日々コゼットを自分のものにしていった。観念的ではあるがしかし深い所有だった。既に説明したとおり、初恋においては肉体よりも先に魂を奪うものである。後になると、魂より先に肉体を奪い、時によると魂をまったく顧みないこともある。フォーブラやプリュドンムのごとき俗物は言い添える、「なぜなら魂なんぞは初めからないからだ。」しかしそういう嘲笑《ちょうしょう》は幸いにして冒涜《ぼうとく》なものである。でマリユスは、精神的所有においてコゼットを所有していた
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