ス。しかし実際この修道院の寄宿舎を出たばかりの少女は、ある微妙な洞察力《どうさつりょく》をもって話をし、時々真実なみごとな言葉を発した。そのむだ口もみなりっぱな会話となっていた。何事にも見当違いはなく、正当な見方をしていた。およそ女は、決して物を誤ることのないやさしい心の本能をもって、感じまた語るものである。いかに女がやさしくまた同時に深遠なことを語るものであるか、それを知る人は少ない。優美と深遠、そこに女の全部があり、そこに天の全部がある。
 そういう至福のうちにあって、涙は絶えず彼らふたりの目に上ってきた。踏みつぶされてる一匹の虫、巣から落ちてきた一本の鳥の羽、折れてる野薔薇《のばら》の一枝、そういうものも彼らの心を動かして、静かにうれいに浸ってる彼らの恍惚《こうこつ》たる感情は、ただ泣くことをのみ求めてるかのようであった。往々にして愛の兆候は、時にはたえ難いほどのやさしい情であることが多い。
 そしてまた一方では――すべてこれらの矛盾は愛のひらめきの戯れである――彼らは好んでよく笑い、しかも快い自由さをもって、また時にはほとんど子供になったかと思われるほど親しげに、笑うのであった
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