ウ制者に対抗する争いではなく、不如意が安逸に対抗する反抗である。その時すべては崩壊する。
 ジャックリーは民衆の戦慄《せんりつ》である。
 十八世紀の末葉においておそらく全ヨーロッパに切迫していたこの危急を、あの広大なる誠直の行為たるフランス大革命は、一挙に断ち切ったのである。
 剣を装ったる理想に外ならないフランス大革命は、すっくと立ち上がり、同じ急速な動作で、悪の扉《とびら》を閉ざし善の扉を開いた。
 大革命は問題を解決し、真理を普及し、毒気を払い、時代を清め、民衆に王冠を授けた。
 大革命は人間に第二の魂たる権利を与えながら人間を再びつくった、ともいい得るであろう。
 十九世紀はその事業を継承し利用している。そして今日では、前に述べたような社会の破滅は当然起こり得ない。かかる破滅を予言する者は盲者であり、かかる破滅を恐るる者は痴呆《ちほう》である。革命はジャックリーの種痘である。
 革命の恩恵によって社会の情況は変わった。封建的王政的な病はもはや我々の血液の中にはない。我々の政体のうちにはもはや中世は存しない。恐るべき黴菌《ばいきん》が内部に満ちあふれていた時代、恐ろしい響きのか
前へ 次へ
全722ページ中380ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング