場の控え室だったのである。国王の兎を一匹盗んでもそこに入れられた。そしてこの地獄の墓穴の中で、彼らは何をなしていたか。人が墓穴の中でなし得ること、すなわち死の苦しみを彼らはしていた、また人が地獄においてなし得ること、すなわち歌を彼らは歌っていた。もはや希望が無くなった所には、ただ歌だけが残るものである。マルタ島の海では、一つの漕刑船《そうけいせん》が近づく時、櫂《かい》の音が聞こえる前にまず歌の声が聞こえた。シャートレの地牢《ちろう》を通ってきたあわれな密猟者スュルヴァンサンはこういった、「私をささえてくれたものは韻律である[#「私をささえてくれたものは韻律である」に傍点]。」詩は無用だ、韻律が何の役に立つか、と人はいう。しかも隠語のほとんどすべての歌が生まれたのは、この窖《あなぐら》の中においてであった。パリーの大シャートレ監獄の地牢から、あのモンゴムリー徒刑場の憂鬱《ゆううつ》な反唱句も生まれたのである、Timaloumisaine, timoulamison と。またそれらの歌の多くは悲痛なものであるが、中には快活なものもあり、やさしいものも一つある。

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