sようかい》はその衣裳方となって彼を扮装《ふんそう》してやったのである。はいつつ立っている。爬虫類《はちゅうるい》の二重の歩き方である。かくて彼はあらゆる役目に適するようになる。詐欺者からは曖昧《あいまい》な色になされ、毒殺者からは緑青の色になされ、放火犯人からは煤《すす》の色になされ、殺害者からはまっかな色をもらっている。
 正直な人々の方に身を置いて、社会の戸口に耳を澄ますと、外にいる者らの対話を盗み聞くことができる。問いと答えとははっきり聞き分けられる。そしてその内容はわからないで、ただ人間の音調らしいものが、否むしろ言葉というよりも吠《ほ》え声に近いものが、気味悪く鳴り響いているかと思われる。それは隠語である。その単語は形がゆがんでいて、いい知れぬ奇怪な獣性をそなえている。あたかも水蛇《みずへび》の話を聞くがようである。
 それは暗黒中にある不可知なるものである。その謎《なぞ》によって闇《やみ》を一層深くしながら、鋭くまた低く響いている。不幸の中はまっくらであり、罪悪の中は一層まっくらである。その二つの闇が結合して隠語を作る。大気の中も闇であり、行為の中も闇であり、声のうちも闇
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