ュは言った。
「それだけだ。」とグールメルが言った。
 浮浪少年は綱と管と壁と窓とを見調べ、そして軽蔑するような何とも言えぬ音を脣《くちびる》から出した。その意味はこうだった。
「それだけか!」
「上に人がいる、それをお前は救うんだ。」とモンパルナスは言った。
「やるか?」とブリュジョンが言った。
「なーんだい!」と少年は、そんな問いをかける奴《やつ》があるかとでもいうように答え返した。そして靴《くつ》をぬいだ。
 グールメルはガヴローシュの片腕をつかんで、彼を板小屋の屋根にのせた。虫食ったその屋根板は子供の重みにしなった。それからグールメルは、モンパルナスのいない間にブリュジョンがつなぎ合わせた綱を彼に渡した。浮浪少年は管の方へ進んだ。ちょうど屋根に接して大きな割れ目が一つあって、それから中にはいるのは容易だった。そこから彼が上って行こうとした時、テナルディエは救済と生命とが近づくのを見て、壁の端からのぞき出した。彼の汗にまみれた額、青ざめた頬骨《ほおぼね》、猛悪な鋭い鼻、逆立った灰色の髭《ひげ》、などが暁の初光にほの白く浮き出して、ガヴローシュはそれがだれであるかを見て取った。

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