作り、戸に穴をあけ、合い札を作り、合い鍵《かぎ》を作り、鉄枷《てつかせ》を切り、外に綱を下げ、身を隠し、様子を変えるなんか、よほどの腕達者でなけりゃできねえ。あの老耄《おいぼれ》にできるもんか、何にも知らねえからな。」
 それにまたバベが次のように言い添えた。それはやはり昔プーライエやカルトゥーシュなどの凶賊が使っていた古典的な賢明な隠語であった。ブリュジョンが使ってる無謀な新しい気取った危険な隠語にそれを対照すると、ちょうどアンドレ・シェニエの言葉にラシーヌの言葉を対照するようなものだった。
「あの宿屋の亭主め、仕事中に押さえられたのかも知れねえ。よほど腕達者でなけりゃだめだが、奴《やつ》はまだ見習いだからな。回し者かぐるの奴《やっこ》さんに、一杯くわせられたのかも知れねえ。そら、モンパルナス、監獄の中であのとおり騒いでるのが聞こえるじゃねえか。あの蝋燭《ろうそく》の光を見ろ。またつかまったんだ。なに二十年延びるだけだ。俺《おれ》は何も恐がるわけじゃねえし、臆病風《おくびょうかぜ》に誘われたわけでもねえが、こうなっちゃもう仕方がねえ、うっかりするとこちらまで穴にはまるだけだ。いきりた
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