傍点]という言葉で彼は、場末の浮浪人であるブリュジョンを見て取り、こっちゃという言葉で彼は、種々な仕事のうちでもことにタンプルの古物商をしてたことのあるバベを見て取った。
大世紀時代の古い隠語は、もうタンプルでしか使われていなくて、バベはそれを純粋に話し得るただひとりだった。こっちゃ[#「こっちゃ」に傍点]という言葉がなかったら、テナルディエも彼を見て取り得なかったろう、なぜなら彼はすっかりその声を変えていたから。
そのうちに第三の男が口を入れた。
「だが何も急ぐことはねえ。少し待ってみよう。あいつ俺《おれ》たちの手を借りてえのかも知れんからな。」
これは普通の言葉使いであって、テナルディエにはそれがモンパルナスだとわかった。モンパルナスはあらゆる隠語に通じながらそれを少しも使わないことを、自ら上品だとしていた。
第四の男は黙っていたが、その広い肩幅でだれだか明らかだった。テナルディエは惑わなかった。それはグールメルだった。
ブリュジョンは勢い込んでしかしなお低い声で答え返した。
「何を言うんだ。宿屋の亭主が逃げ出せるもんか。あいつはまだ新参だ。シャツを裂き敷き布を破って綱を
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