が名高くした葡萄酒があるが、テナルディエはその一瓶《ひとびん》をそこで手に入れて隠していた。どうしてそれができたか、まただれの手助けによってだったかは、ついに明らかにされることができなかった。
たいていの監獄には、裏切りの属吏がいるもので、彼らは獄丁と盗賊とを兼ね、囚人の脱走を助け、不実な役目を警察に売りつけ、給金をしぼり取るのである。
さて、ガヴローシュが往来にさ迷っていたふたりの子供を拾い取ったその夜、ブリュジョンとグールメルとは、その朝脱走したバベがモンパルナスとともに往来に待ち受けているのを知って、静かに起き上がり、ブリュジョンが見つけた一本の釘《くぎ》で、寝台に接した暖炉の煙筒を破り始めた。破片はブリュジョンの寝台の上に落ちて、音を出さなかった。驟雨《しゅうう》は雷鳴に交じって、扉を肱金《ひじがね》の上に揺すぶり、監獄の中は好都合な恐ろしい響きに満ちていた。目をさました囚人らはまた眠ったふうをして、グールメルとブリュジョンとをなすままにさしておいた。ブリュジョンは器用であり、グールメルは力があった。寝室の中が見通せる鉄格子のついた分房に眠ってる監視人の耳に、その物音がはい
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