注 フランスのやさしい叙情詩人[#ここで割り注終わり])の向こうに見ゆるミルトンのごときものであった。
その壁はごく高かったが、上には更にいっそうまっ黒な屋根が一つ見えていた。新館の屋根だった。それには鉄格子《てつごうし》をはめた四つの屋根裏の窓が見えていて、それが望楼の窓だった。屋根をつきぬけている一つの煙筒は、各寝室を通ってる暖炉の煙筒だった。
新館の上層たる望楼は、屋根裏の一種の大広間で、三重の鉄格子《てつごうし》がはめてあり、大|鋲《びょう》をうちつけた二重鉄板の扉《とびら》でしめ切ってあった。北の端からはいってゆくと、左手に四つの軒窓があり、右手にその軒窓と向かい合って、四つのかなり広い大きな四角な檻《おり》があって、狭い廊下でそれぞれへだてられ、人の背たけくらいまでは泥《どろ》で作られ、それから上は屋根までずっと鉄格子で作られていた。
テナルディエは二月三日の晩以来、その檻の一つに秘密監禁にされていた。デリューの発明になったといわるる葡萄酒《ぶどうしゅ》で、麻酔剤が少しはいっており、アンドルムール([#ここから割り注]催眠剤を用うる盗賊[#ここで割り注終わり])の仲間
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