ものであり、その微笑は性質からきたものだった。彼の職業上の最初の研究は、屋根の方へ向けられていた。そして鉛を引きぬく仕事、すなわち鉛板職[#「鉛板職」に傍点]と称する方法で屋根をめくり樋《とい》をはがす仕事に、大なる進歩をもたらした。
脱走計画に好機を与えたのは、ちょうどその時、屋根職人らが監獄の屋根の一部を作りかえ漆喰《しっくい》をぬりかえてることだった。サン・ベルナールの庭は、シャールマーニュの庭やサン・ルイの庭から絶対に行けないことはなかった。上の方に足場やはしごがかけてあった。言い換えれば脱走を導く橋や階段がついていた。
新館は最も裂け目があり、最もこわれかかった建物であって、監獄の弱点となっていた。その壁ははなはだしく風雨にいたんで、寝室の丸天井には木の覆《おお》いを着せなければならなかった。石がはずれて寝床にいる囚人らの上に落ちてきたからである。かく老朽しているにもかかわらず新館のうちに、最も不安な囚人らを入れたのは、監獄の言葉に従えば「重罪事件」を置いたのは、大なる誤ちであった。
新館には順々に重なった四つの寝室があって、更にその上には望楼と呼ばれる一室があった。た
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