思わない。それだけだ。」
 ふたりの子供は惘然《ぼうぜん》とした畏敬の念でその知謀ある大胆な少年をながめた。少年は彼らと同じく宿もなく、同じく世に孤立の身であり、同じ弱年ではあったが、何かすばらしい万能なものを持っており、あたかも超自然的な者のようであって、その顔つきには老手品師のような渋面と最も無邪気なかわいい微笑とがいっしょに浮かんでいた。
「それでは、」と年上の方は恐る恐る言った、「巡査《おまわり》さんもこわくないんですか。」
 ガヴローシュはただこう答えた。
「巡査《おわまり》さんなんて言うやつがあるか、いぬ[#「いぬ」に傍点]と言うんだ。」
 年下の方は目を見張っていたが、何とも口はきかなかった。兄の方がまんなかにいて彼は蓆《むしろ》の端になっていたので、ガヴローシュは母親のように彼に毛布をくるんでやり、古いぼろ布を敷いて頭の下の蓆を高めて枕になるようにしてやった。それから彼は年上の方へ向いた。
「どうだ、いい具合だろう。」
「ええ。」と年上の方は救われた天使のような表情をしてガヴローシュを見ながら答えた。
 ずぶぬれになっていたふたりのあわれな子供も、少し身体があたたまって
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