ッチはまだできていなかった。フュマードの発火器も当時では進歩した方のものだった。
突然光がきたので、子供らは目をまたたいた。ガヴローシュは樹脂の中に浸した麻糸でいわゆる窖《あなぐら》の鼠なるものの端に火をつけたのだった。光よりもむしろ煙の方を多く出すその窖の鼠は、象の内部をぼんやり明るくなした。
ガヴローシュのふたりの客人は、まわりをながめて、一種異様な感に打たれた。ハイデルベルヒ城の大|樽《たる》の中に閉じこめられでもしたような心地であり、またなおよく言えば、聖書にある鯨の腹の中にはいったというヨナが感じでもしたような心地だった。巨大な骸骨《がいこつ》が彼らの目に見えてきて、彼らを丸のみにしていた。上には、穹窿形《きゅうりゅうけい》の大きな肋骨材《ろっこつざい》が所々に出ている薄黒い長い梁《はり》が一本あって、肋骨をそなえた背骨のありさまを呈し、多くの漆喰《しっくい》の乳房が内臓のようにそこから下がっており、一面に張りつめた広い蜘蛛《くも》の巣は、塵《ちり》をかぶった横隔膜のようだった。方々のすみには黒ずんだ大きな汚点が見えていて、ちょうど生きてるようで、にわかに騒ぎ立って早く動
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