に偉大なることであるか。愛するというは更にいかに偉大なることであるか! 心は情熱のために勇壮となる。その時心を組み立つるものは至純なるもののみであり、心をささうるものは高きもの大なるもののみである。蕁麻《いらくさ》が氷河の上に生じないごとく、卑しい考えは一つもそこに生ずることを得ない。高き朗らかなる魂は、卑俗なる情熱や情緒の達し得ない所にあって、この世の雲や影、愚蒙《ぐもう》や欺瞞《ぎまん》や憎悪《ぞうお》や虚栄や悲惨、などの上にはるかにそびえ、蒼空《そうくう》のうちに住み、あたかも高山の頂が地震を感ずるのみであるがように、ただ宿命の深い地下の震動を感ずるのみである。
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世に愛をいだく人がなかったならば、太陽も消えうせてしまうであろう。
[#ここで字下げ終わり]
五 手紙を見たる後のコゼット
その手記を読んでるうちに、コゼットはしだいに夢想に陥っていた。最後の一行を読んで彼女が目を上げた時、ちょうど例の時刻で、あの美しい将校が揚々として鉄門の前を通っていった。コゼットは彼をいとうべきものに思った。
彼女はまた手帳をながめ始めた
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