、生涯に始めて深く考え込んでしまっていたので、それに少しも気づかなかった。ガヴローシュはマブーフ老人がいる所まで戻って来ると、籬《まがき》越しに財布を投げ込んで、足に任して逃げ出した。
財布はマブーフ老人の足の上に落ちた。その打撃で彼は目をさました。彼は身をかがめて財布を拾い上げた。何のことか少しもわからなかったので、中を開いてみた。中は二つに分かれていて、一方には小銭が少しはいっており、他方にはナポレオン金貨([#ここから割り注]訳者注 ルイ金貨と同じく二十フランの金貨[#ここで割り注終わり])が六つはいっていた。
マブーフ氏は非常に驚いて、それを婆さんの所へ持っていった。
「天から落ちてきたのですよ。」とプリュタルク婆さんは言った。
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第五編 首尾の相違
一 寂寞《せきばく》の地と兵営
コゼットの悲しみは、過ぎた四、五カ月の間はいかにも強く、また今なお、きわめて痛ましいものではあったが、既に彼女自ら知らないうちに回復期に向かっていた。自然と、春と、青春と、父に対する愛と、小鳥や花の快さなどは、いかにも純潔な年若い彼女の心に、ほとんど忘却に
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