、首に鉄の輪をはめられるようになる。もし女に横目でもつかえば、棒でなぐられる。そしてそこにはいる時は二十歳くらいでも、出る時には五十歳にもなる。はいる時には年が若く、顔色は美しく、いきいきとして、目は輝き、歯はまっ白で、若々しいりっぱな髪の毛をしていても、出て来る時には、老衰し、腰は曲がり、皺《しわ》はより、歯はぬけ、恐ろしい姿になって、髪の毛もまっ白になっている。ああかわいそうにお前は誤った道を取っている。何にもしないということが、お前を悪い方へ導いたのだ。仕事のうちでも一番つらいことは、盗みの仕事である。私《わし》を信じて、なまけようなどという困難な仕事を始めなさんな。悪者になるのは、容易なことではない。正直な人間になる方がよほど楽だ。さあ行って、私の言ったことをよく考えてみなさい。ところで、何か用だったか。財布《さいふ》かね。それならここにある。」
そして老人はモンパルナスから手を放し、彼の手に財布《さいふ》を握らしてやった。モンパルナスはちょっとその重さを手ではかってみて、それから自分で盗みでもしたように機械的な注意を配って、上衣の後ろのポケットにそれを静かにすべり込ました。
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