がいていた。ただそれはガヴローシュが思っていたこととはまったく反対だった。打ち倒されたのはモンパルナスであって、上になってるのが老人だった。
 それらのことがガヴローシュの数歩先の所で起こったのだった。
 老人は一撃を受けたが、すぐに猛烈な一撃を報いたので、またたくまに襲撃者と被襲撃者とは位置をかえたのである。
「これはすごい爺《じい》さんだ、」とガヴローシュは考えた。
 そして彼は思わず手をたたいた。が拍手は何の用もなさなかった。ふたりの闘士は、互いに夢中になって何にも気づかず、息を交じえるばかりに相接して争っていたので、その音を耳にしなかった。
 するとたちまち静かになった。モンパルナスは身をもがくのをやめた。ガヴローシュはひとりで言った、「死んだのかしら。」
 老人はその間一語をも発せず、叫び声をも立てなかった。彼は立ち上がった。そしてガヴローシュはモンパルナスに彼がこういうのを聞いた。
「起きろ。」
 モンパルナスは起き上がった。しかし老人は彼をとらえていた。モンパルナスは面目なげなしかも憤激した態度をして、あたかも羊に捕えられた狼《おおかみ》のようだった。
 ガヴローシュは目
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