場所はちょうどよい具合に潜伏所ともなっていた。
こんな時刻に、こんな場所で、モンパルナスが人の跡をつけてるのは、恐ろしいことだった。ガヴローシュは浮浪少年ながらも、老人に対して憐憫《れんびん》の情を動かした。
どうしたものであろう。手を出すべきであろうか。しかしひとりの弱者が他の弱者を助けに行ったところでどうなるものか。ただモンパルナスの嘲笑《ちょうしょう》を買うばかりだ。この十八歳の恐ろしい無頼漢にとっては、第一に老人と第二に子供とでは、ただ二口の餌食《えじき》に過ぎないということを、ガヴローシュは認めざるを得なかった。
ガヴローシュが考えあぐんでいるうちに、突然恐ろしい襲撃が起こった。驢馬《ろば》に対する虎《とら》の襲撃であり、蠅《はえ》に対する蜘蛛《くも》の襲撃であった。モンパルナスはいきなり口の薔薇《ばら》の花を投げ捨て、老人の上に飛びかかり、その襟《えり》をとらえて鷲《わし》づかみにし、そこにしがみついてしまった。ガヴローシュはほとんど叫び声を出さんばかりになった。一瞬間のうちに、ひとりはもひとりの下に組みしかれ、膝《ひざ》でぐっと胸を押さえられて、ねじ伏せられうなりも
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