顔色の悪いことだけで、ジャン・ヴァルジャンの心をわずらわすには余りあるほどだった。時とすると彼は尋ねた。
「どうしたんだい?」
彼女は答えた。
「どうもしませんわ。」
そしてちょっと黙った後、彼もまた悲しんでるのを彼女は察したかのように言った。
「そしてあなたは、お父様、どうかなすったのではありませんか。」
「私が? いや何でもないよ。」と彼は言った。
あれほどお互いのみを愛し合い、しかもあれほど切に愛し合っていたふたり、互いにあれほど長く頼り合って生きてきたふたりは、今やいずれも苦しみながら、互いに苦しみの種となりながら、互いにうち明けもせず怨みもせず、ほほえみ合っていたのである。
八 一連の囚徒
ふたりのうちでより多く不幸な方はと言えば、それはジャン・ヴァルジャンであった。青春の間は悲嘆のうちにあっても常に独特な光輝を有するものである。
おりおりジャン・ヴァルジャンはひどく心を苦しめて子供のようになることがあった。人の子供らしい半面を現わさせるのは、悲痛の特色である。彼はコゼットが自分から逃げ出そうとしているという感じを打ち消すことができなかった。彼はそれと
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