リユスはもうそこにいなかった。マリユスはいなくなってしまったのだ、万事は終わったのだ、どうしたらいいだろう? またいつか再び会えることがあるだろうか。彼女は心が痛むのを感じた、そしてそれは何物にも癒《いや》されることがなく、日ごとに度を増していった。彼女はもはや冬であるか夏であるかを知らず、日が照っているか雨が降っているかを知らず、小鳥がさえずっているかどうか、ダリアの季節であるか雛菊《ひなぎく》の季節であるか、リュクサンブールの園はテュイルリーの園よりも美しいかどうか、洗たく屋が持ってきたシャツは糊《のり》がききすぎているか足りないか、トゥーサンは「買い物」を上手《じょうず》にやったか下手《へた》にやったか、彼女にはいっさいわからなかった。そして彼女は打ちしおれ、魂を奪われ、ただ一つの考えにばかり心を向け、ぼんやりと一つ所に据わった目つきをして、幻が消え失せた跡の黒い深い場所を暗夜のうちに見つめてるかのようだった。
 けれども、彼女の方でもまた、顔色の悪くなったことのほかは何事もジャン・ヴァルジャンに知れないようにした。彼女はやはり彼に対してやさしい顔つきをしてみせた。
 しかしその
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