のうちにあって、人類的親愛の象徴たる植物的親愛の聖《きよ》い神秘を、発揚し、成就していた。それはもはや一つの庭ではなくて、一つの巨大なる藪《やぶ》であった、換言すれば、森林のごとく見透かすことができず、都市のごとく多くのものが住み、巣のごとく震え、大会堂のごとく薄暗く、花束のごとく香《かお》り、墓のごとく寂しく、群集のごとくいきいきたる、何物かであった。
 花季になると、その巨大な藪は、その鉄門と四壁とのうちにあって自由に、種子発生のひそやかな仕事のうちにいっせいに奮い立っておどり込んでいた。そして、宇宙の愛が発散する気を呼吸し、脈管のうちには四月の潮の高まり沸き立つのを感じてる動物のように、朝日の光に身を震わして、豊富な緑の髪を風に打ち振りながら、湿った土地の上に、腐食した立像の上に、家のこわれかかった石段の上に、人なき街路の舗石《しきいし》の上にまで、星のごとき花や、真珠のごとき露や、繁茂や、美や、生命や、喜悦や、香りなどを、ふりまいていた。日中には、何千となき白い蝶《ちょう》がそこに逃げ込んできた、そしてこの生ある夏の雪が木陰に翩々《へんぺん》と渦巻《うずま》くのは、いかにも聖《
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