格子《こうし》越しに、しばしば無遠慮に中をのぞき込んで思い惑った夢想家は、その当時ひとりのみに止まらなかった。
片すみに石のベンチが一つあり、苔のはえた二、三の立像があり、壁の上には時を経て釘《くぎ》がとれ腐りかかってる格子細工が残っていて、その上どこにも道もなく芝生もなく、一面に茅草《かやぐさ》がはえていた。園芸が去って自然がかえってきたのである。雑草がおい茂って、そのあわれな一片の土地はみごとな趣になっていた。十字科植物が美しく咲き乱れていた。その庭のうちにあっては、生命の方へ向かう万物の聖なる努力を何物も妨げていなかった。そこではすべてが尊い生長を自由に遂げていた。樹木は荊棘《いばら》の方へ身をかがめ、荊棘は樹木の方へ伸び上がり、灌木《かんぼく》はよじ上り、枝はたわみ、地上をはうものは空中にひろがるものを見いださんとし、風になぶらるるものは苔《こけ》のうちに横たわるものの方へかがんでいた。幹、枝、葉、繊維、叢《くさむら》、蔓《つる》、芽、棘《とげ》、すべてが互いに交り乱れからみ混合していた。かくて深い密接な抱擁のうちにある植物は、造物主の満足げな目の前において、三百尺平方の囲い
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