にコゼットと二人きりで、一カ月か六週間くらいを過ごした。その間彼は、門番に用をたしてもらい、自分は郊外に住む年金所有者で町に寄寓《きぐう》してる者であると言っていた。かくてこの高徳の人物も、警察の目をのがれるためパリーに三つの住所を持っていたのである。

     二 国民兵たるジャン・ヴァルジャン

 けれども本来から言えば、彼はプリューメ街に住んでいて、次のような具合に生活を整えていた。
 コゼットは女中とともに母屋《おもや》を占領していた。窓間壁《まどまかべ》に色の塗ってある大きな寝室、縁※[#「宛+りっとう」、第4水準2−3−26]形《ふちくりがた》に金の塗ってある化粧室、帷帳《いちょう》や大きな肱掛《ひじか》け椅子《いす》のそなえてある元の法院長の客間、などがあって、また庭もついていた。ジャン・ヴァルジャンはコゼットの室《へや》に、三色の古いダマ織りの帷《とばり》のついた寝台を据えさし、フィギエ・サン・ポール街のゴーシェお上さんの店で買った古い美しいペルシャ製の絨毯《じゅうたん》を敷かした。そしてそのみごとな古い品物のいかめしさを柔らげんため、その骨董的《こっとうてき》風致に
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