妖鬼《ようき》の住んでた場所の一つだったということであるから、この第二の書物は彼にはいっそう興味が深かった。はや夕暮れの薄ら明りのため、高くにある物はほの白くなり低くにある物は黒くなりかけていた。書物を読みながら、また手の書物越しに、マブーフ老人は自分の植物をながめ、なかんずく彼の慰安の一つだったりっぱな一本の石楠《しゃくなげ》に目を止めた。暑気と風と晴天とが四日続いて一滴の雨も降らなかったあとなので、植物の茎は曲がり、蕾《つぼみ》はしおれ、葉はたれて、すべて水を欲しがっていた。石楠はことに哀れな様だった。マブーフ老人は植物にも魂があると思ってる人だった。彼は終日|藍畑《あいばたけ》で働いて疲れきっていたが、それでも立ち上がって、書物をベンチの上に置き、腰をまげよろめきながら井戸の所まで歩いて行った。そして井戸の鎖を手に取りはしたが、それをはずすだけ十分に引っ張る力はなかった。彼はふり返って、心配な目つきで空を見上げた。空には星がいっぱい出ていた。
その夕には、あるしめやかな永遠な喜びの下に人の悲しみを押さえつける清朗さがあった。が夜には、昼間と同じに乾燥したさまが見えていた。
「星
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