・パの付近に、お前さんが住んでることをわしは知ってる。毎日その教会堂の弥撒《ミサ》に行きなさるのでもわかる。だがどの町だかわしは知らねえ。お前さんは今どんな場合にいるかわかっていなさるはずだと思う。だから名前に嘘《うそ》を言わなかったとおり、住所にも嘘を言わねえがいい。自分でそれを書きなさい。」
捕虜はちょっと考え込んでいたが、やがてペンを取って書いた。
――サン・ドミニク・ダンフェール街十七番地、ユルバン・ファーブル氏方、ファーブル嬢殿。
テナルディエは熱に震えるような手つきでその手紙をつかんだ。
「女房。」と彼は叫んだ。
テナルディエの女房は急いでやって来た。
「さあ手紙だ。やることはわかってるだろう。辻馬車《つじばしゃ》が下にある。すぐに出かけて、すぐに帰ってこい。」
それから斧《おの》を持ってる男の方へ言った。
「貴様はちょうど面を取ってるから、うちの上《かみ》さんについてってくれ。馬車の後ろに乗ってゆくがいい。例の小馬車を置いてきた所はわかってるな。」
「わかってる。」と男は言った。
そして斧を片すみに置いて、彼はテナルディエの女房のあとについて行った。
ふたり
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