は言葉を切った。
「お前さんは彼女《あれ》にそういうふうな親しい言い方をしていなさるだろうな。」
「だれに?」とルブラン氏は尋ねた。
「わかってらあな、」とテナルディエは言った、「あの子供にさ、アルーエットにさ。」
 ルブラン氏は外見上いかにも冷静に答えた。
「何のことだか私にはわからない。」
「でもまあ書きなさい。」とテナルディエは言った。そしてまた口授を初めた。
「――すぐにおいで。是非お前にきてほしい。この手紙を持って行く人が、お前を私の所へ案内してくれることになっている。私はお前を待っている。やっておいで安心して――。」
 ルブラン氏はそれをすっかり書いた。テナルディエは言った。
「ああ安心して[#「安心して」に傍点]というのは消しなさい。それは何だか普通のことでないような気を起こさして、不安に思わせるかも知れない。」
 ルブラン氏はその四字を消した。
「さあ署名しなさい。」とテナルディエは言った。「お前さんの名は何て言うのかな。」
 捕虜はペンを置いて、そして尋ねた。
「だれにこの手紙はやるんですか。」
「お前さんにはよくわかってるはずだ。」とテナルディエは答えた。「あの子供
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