名ビグルナイユは、テナルディエの言うとおりにした。捕虜の右手が自由になった時、テナルディエはペンをインキに浸して、それを彼に差し出した。
「旦那、よく頭に入れておいてもらいましょうや。お前さんは今日わしらの手の中にありますぜ。わしらの思うままに、まったく思うままにどうにでもできますぜ。人間の力ではとうていお前さんをここから助け出すことはできねえ。だがわしらだって荒療治をしなけりゃならねえようになるのはまったくいやなんだ。わしはお前さんの名前も知らねえし、住所も知らねえ。しかしことわっておくが、お前さんがこれから書く手紙を持って行く使いの者が帰って来るまでは、縛られたままでいなさらなけりゃならねえ。そのつもりで、さあ書きなさるがいい。」
「何と?」と捕虜は尋ねた。
「わしの言うとおりに。」
 ルブラン氏はペンを取った。
 テナルディエは口授し初めた。
「――わが娘よ……――」
 捕虜は身を震わして、テナルディエの方へ目を上げた。
「――わが愛する娘よ――と書きなさい。」とテナルディエは言った。
 ルブラン氏はそのとおりに書いた。テナルディエは続けた。
「――すぐにおいで……――。」
 彼
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