ァバントゥー君。」
「話と申しますのは、実は旦那様《だんなさま》。」とジョンドレットは言いながら、テーブルの上に肱《ひじ》をつき蟒蛇《うわばみ》のようなじっとすわったやさしい目でルブラン氏をながめた。「私は画面を一つ売り払いたいと申しかけた所でございましたが。」
 扉《とびら》の所で軽い音がした。第二の男がはいってきて、ジョンドレットの女房の後ろに寝台に腰掛けた。第一の男と同じように、両腕を出し、インキか煤《すす》かで顔を塗りつぶしていた。
 その男も文字どおりに室《へや》にすべり込んできたのであるが、ルブラン氏の注意をのがれることはできなかった。
「どうかお気になさいませんように。」とジョンドレットは言った。「みんなこの家にいるものでございます。ところで今の話でございますが、私に残っていますのは一枚の画面きりで、それも貴重なものでして……。まあ旦那、ごらん下さいませ。」
 彼は立ち上がって、壁の所へ行った。その下の方に、前に述べた鏡板が置いてあった。彼はそれを裏返して、やはり壁に立てかけた。それはなるほど何か画面らしいもので、わずかに蝋燭《ろうそく》の光で照らされていた。マリユスはジ
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