首筋を出し、刺青《いれずみ》した両腕を出し、顔はまっ黒に塗られていた。彼は黙って腕を組んだまま、近い方の寝台に腰をおろしていたが、ちょうどジョンドレットの女房の後ろになっていたので、ただぼんやりその姿が見えるきりだった。
 注意を伝える一種の磁石的な本能から、ルブラン氏はマリユスとほとんど同時にその方を顧みた。彼は驚きの様子を自らおさえることができなかった。そしてそれはジョンドレットの目をのがれなかった。
「ああなるほど、外套《がいとう》でございますか。」とジョンドレットは叫んで、機嫌《きげん》を取るようなふうでそのボタンをかけた。「私によく合います。まったくよく合います。」
「あの人はだれです。」とルブラン氏は言った。
「あれでございますか。」とジョンドレットは言った。
「隣の男でありまして、どうか決しておかまいなく。」
 その隣の男というのは、不思議な顔つきをしていた。けれども、そのサン・マルソー郭外には化学製造工場がたくさんあって、そこの職工は多くまっ黒な顔をしてることがあった。ルブラン氏の様子は、静かに大胆に安心しきってるがようだった。彼は言った。
「で、何のお話でしたかな、フ
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