時マリユスは、今まで何かわからなかったその繩みたいなものは、実は木の桟と引っかけるための二つの鈎《かぎ》とがついてるきわめて巧みにできた繩梯子《なわばしご》だということがわかった。
 その繩梯子と、それから扉《とびら》の後ろに積んだ鉄屑《てつくず》の中に交じってる荒々しい道具、まったくの鉄棒なんかは、その朝ジョンドレットの室の中になかったもので、確かにその午後マリユスの不在中に持ち込まれたものに相違なかった。
「あれはみな刃物師の道具だな。」とマリユスは考えた。
 もしマリユスに今少しその方面の知識があったら、彼は刃物師の道具だと思ったもののうちに種々なものを認むることができたろう、すなわち、錠前を破ったり扉をこじあけたりする道具や、切ったり断ち割ったりする道具などで、盗賊仲間でちび[#「ちび」に傍点]およびばさ[#「ばさ」に傍点]と言わるる二種の恐ろしい道具だった。
 二つの椅子をそなえたテーブルと暖炉とは、ちょうどマリユスの正面になっていた。火ばちが隠されたので、室はもう蝋燭《ろうそく》で照らされてるばかりだった。そしてテーブルの上や暖炉の上のちょっとした物でさえ、大きな影を投じて
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