いた。彼はバラモン教徒のような慈悲心と法官のような峻厳《しゅんげん》さとを持っていた。蛙《かえる》をあわれむとともに蛇《へび》を踏みつぶすだけの心を持っていた。しかるに彼が今のぞき込んだ所は、蝮《まむし》の穴であった。彼が見た所のものは、怪物の巣であった。
「かかる悪人どもは踏みつぶさなければいけない。」と彼は自ら言った。
 解決されるかと思っていた謎《なぞ》は一つも解かれなかった。否かえってすべてはますます不可解になった。リュクサンブールの美しい娘についてもまたルブラン氏と呼んでいる男についても、ジョンドレットが彼らを知っているということのほかには何らの得る所もなかった。そして耳にした怪しい言葉を通してようやく彼にはっきりわかったことは、ただ一事にすぎなかった。すなわち、ある待ち伏せが、ひそかなしかも恐ろしい待ち伏せが、今計画されているということ。ふたりとも、父親の方は確かに、娘の方もたぶん、大なる危険に遭遇せんとしていること。自分はふたりを救わなければならないこと。ジョンドレットの者らの忌むべき策略の裏をかき、その蜘蛛《くも》の巣を破ってしまわなければならないこと。
 彼はちょっと
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