の出現、その消失、あの娘の今の言葉、絶望の淵《ふち》のうちに漂ってきた希望の光、それらが入り乱れて彼の頭にいっぱいになっていた。
突然彼はその夢想から激しく呼びさまされた。
彼はジョンドレットの高いきびしい声を耳にしたのである。その言葉は彼の異常な注意をひくものだった。
「確かにそうだ、俺《おれ》はそうと見て取ったんだ。」
ジョンドレットが言ってるのはだれのことだろう? だれをいったい見て取ったのか。それはルブラン氏のことなのか。「わがユルスュール」の父親のことなのか。でもジョンドレットはいったい彼を知ってるのか。自分の生涯を暗闇《くらやみ》から救ってくれるあらゆる手掛かりは、かくも突然にまた意外に得られようとするのか。自分の愛する者はだれであるか、あの若い娘はいかなる人であるか、その父親はいかなる人であるか、遂にそれがわかろうとするのか。ふたりをおおっていた濃い闇もまさに晴れようとするのか。ヴェールはまさに引き裂かれんとするのか。ああ天よ!
彼は戸棚の上にのぼった、というよりもむしろ飛び上がった。そして例の壁の小穴の近くに位置を占めた。
彼は再びジョンドレットの陋屋《ろうお
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