とだかあたしに言って下さいな。どんな人の所へだって行って話してきてあげるわ。ちょっとだれかが口をききさえすれば、それでよくわかってうまくいくこともあるものよ。ねえあたしを使って下さいな。」
ある考えがマリユスの頭に浮かんだ。人はおぼれかかる時には一筋の藁《わら》にもあえてすがろうとする。
彼は娘のそばに寄った。
「聞いておくれ……。」と彼は娘に言った。
彼女は喜びの色に目を輝かしてそれをさえぎった。
「ええあたしにそう親しい言葉を使って下さいな! あたしその方がほんとにうれしいわ。」
「ではね、」と彼は言った、「お前はここに、あの……娘といっしょにお爺《じい》さんを連れてきたんだね。」
「ええ。」
「お前はあの人たちの住所を知ってるのかい。」
「いいえ。」
「それを僕のためにさがし出してくれよ。」
娘の陰鬱《いんうつ》な目つきはうれしそうになっていたが、そこで急に曇ってきた。
「あなたが思っていたことはそんなことなの。」と彼女は尋ねた。
「ああ。」
「あの人たちを知ってるの。」
「いいや。」
「では、」と彼女は早口に言った、「あの娘さんを知っていないのね、そしてこれから知り合い
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