そして彼は四つの手紙がはいってる包みを取って彼女に差し出した。
 彼女は手を打って叫んだ。
「まあ方々さがしたのよ。」
 それから急に包みを引ったくって、その包み紙を開きながら言った。
「ほんとに妹とふたりでどのくらいさがしたか知れやしない! あなたが拾ってくれたのね。大通りででしょう。大通りに違いないわ。駆けた時に落としたのよ。そんなばかなことをしたのは妹なのよ。家へ帰ってみるとないんだもの。打たれたくないもんだから、打たれたって何の役にもたたないから、ほんとに何の役にもたたないから、全くよ、だからわたしたちはこう言ったの、手紙はちゃんと持って行ったがどこでも断わられてしまったって。それが手紙はみんなここにあったのね。どうしてあなたそれがあたしのだとわかって? ああそう、筆蹟《て》でね。では昨晩《ゆうべ》あたしたちが道でつき当たったのは、あなただったのね。ちっとも見えなかったんだもの。あたしは妹に言ったの、男だろうかって。すると妹は、そうらしいと言ったわ。」
 そう言ってるうちに彼女は、「サン・ジャック・デュ・オー・パ会堂の慈悲深き紳士殿」というあて名の手紙を開いてしまった。

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