深そうな人々へ仮りの名前で手紙を書き、娘なんかどうなろうとかまわないほどのひどい状態にあるので、娘らに危険を冒して手紙を持って行かしてること。運命と賭事《かけごと》をし、娘らをその賭物としてること。また前日娘らが逃げ出しながら息を切らしおびえていた所を見、耳にしたあの変な言葉から察すると、おそらくふたりは何かよからぬことをしていたに違いないこと。そしてそれらのことから結論すると、この人間社会のまんなかにおいて、子供とも娘とも婦人ともつかないふたりの悲惨な者が、不潔なしかも罪のない怪物の一種が、困窮のために作り出されたこと。それをマリユスは了解した。
悲しむべき者ら、彼らには名前もなく、年齢もなく、雌雄《しゆう》の性もなく、彼らにとってはもはや善も悪も空名であって、幼年時代を過ぎるや既に世に一物をも所有せず、自由をも徳義をも責任をも有しない。昨日開いて今日ははや色あせたその魂は、往来に投げ捨てられ泥にしぼんでただ車輪にひかれるのを待つばかりの花のようなものである。
さはあれ、驚いた痛ましい目でマリユスが見守っているうちにも、若い娘は幽霊のように臆面《おくめん》もなく室《へや》の中を歩
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