ズー、およびモンパルナス

 クラクズーにグールメルにバベにモンパルナスという四人組みの悪漢が、一八三〇年から一八三五年まで、パリーの奈落《ならく》を支配していた。
 グールメルは、あたかも失脚したヘラクレス神のような男だった。その巣をアルシュ・マリオンの下水道に構えていた。身長六尺、大理石のような胸郭、青銅のような腕、洞穴《どうけつ》から出るような呼吸、巨人のような胴体、小鳥のような頭蓋《ずがい》。あたかもファルネーゼのヘラクレス神の像が、小倉のズボンと綿ビロードの上衣をつけた形である。そういう彫刻的な体躯《たいく》をそなえたグールメルは、怪物をも取りひしぎ得たであろうが、自ら怪物となることはなお容易であった。低い前額、広い顳※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]《こめかみ》、年齢四十足らずで目尻《めじり》には皺《しわ》が寄り、荒く短い頭髪、毛むくじゃらの頬《ほお》、猪《いのしし》のような髯《ひげ》、それだけでもおよそその人物が想像さるるだろう。彼の筋肉は労働を求めていたが、彼の暗愚はそれをきらっていた。まったく怠惰な強力にすぎなかった。うかとした機会でも人を殺すことができた。植民
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