返すのみでなく、なお哲学をも、科学をも、法律をも、人類の思想をも、文明をも、革命をも、進歩をも、すべてを掘り返す。その名は単に窃盗、売笑、殺戮《さつりく》、刺殺である。彼は暗黒であり、混沌《こんとん》を欲する。彼をおおう屋根は無知で作られてある。
他のすべてのもの、上層のすべての洞窟は、ただ一つの目的をしか有しない、すなわちこの洞窟を除去することである。哲学や進歩が、同時にその全器官をそろえて、現実の改善ならびに絶対なるものの静観によって、到達せんと目ざす所は実にこの一事にある。無知の洞窟を破壊するは、やがて罪悪の巣窟を破壊することである。
以上述べきたったところの一部を数言につづめてみよう。曰く、社会の唯一の危険は暗黒にある。
人類はただ一つである。人はすべて同じ土でできている。少なくともこの世にあっては、天より定められた運命のうちには何らの相違もない。過去には同じやみ、現世には同じ肉、未来には同じ塵《ちり》。しかしながら、人を作る捏粉《ねりこ》に無知が交じればそれを黒くする。その不治の黒色は、人の内心にしみ込み、そこにおいて悪となる。
三 バベ、グールメル、クラク
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