フで、美しい目をしている。エホバの神がいるとしても、彼らは天国の階段を飛びはねて上ってゆくであろう。彼らは足蹴《あしげ》に強い。彼らはあらゆる方面に成長をなし得る。彼らは溝《どぶ》の中で遊んでいる、けれど騒動があるとすっくと立ち上がる。霰弾《さんだん》の前にもたじろがないほど豪胆である。いたずらっ児だったのが英雄となる。テバン([#ここから割り注]訳者注 偶像を廃棄して惨殺せられし古ローマの一団体[#ここで割り注終わり])の少年のように獅子《しし》の背をもなでるであろう。鼓手のバラ([#ここから割り注]訳者注 大革命の時の勇敢な少年[#ここで割り注終わり])はパリーの一浮浪少年であった。あたかも聖書の戦馬が「ヴァー!」とうなるように、彼らは「前へ!」と叫ぶ、そしてたちまちのうちに小童《こわっぱ》から巨人となる。
 この泥中の少年は、また理想中の少年である。モリエールからバラに至るまでのその翼の長さを計ってみるがよい。
 要するに、そして一言に概括すれば、浮浪少年とは不幸なるがゆえに嬉戯《きぎ》する一個の人物である。

     十 ここにパリーあり、ここに人あり

 なおすべてを概説せ
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