黷フ児なるボクランのうちに、またボーマルシェーのうちに、この種の少年の気質があった([#ここから割り注]訳者注 二人とも著述家、次に出て来る人々も同じ[#ここで割り注終わり])。浮浪少年気質はゴール精神の一特色である。それは妥当な常識に交わると時としてそれに力を与える。あたかも葡萄酒《ぶどうしゅ》にアルコールを加えるがごときものである。また時とすると欠点ともなる。ホメロスは無駄口《むだぐち》をたたくと言えるならば、ヴォルテールは浮浪少年気質を発揮すると言うべきであろう。カミーユ・デムーランは郭外人であった。奇蹟をけなしたシャンピオンネはパリーの舗石《しきいし》から出てきた。彼はまだごく小さい時から、サン・ジャン・ド・ボーヴェー会堂やサン・テティエンヌ・デュ・モン会堂などの回廊に侵入して[#「回廊に侵入して」に傍点]いた。そして彼はサント・ジュヌヴィエーヴ会堂の聖櫃《せいひつ》を不作法に取り扱って、サン・ジャンヴィエの聖壺に命令を下していた。
 パリーの浮浪少年は、敬意と皮肉と横柄さとを持っている。食を十分に与えられず胃袋が嘆いているので、がつがつした歯を持っている。また機才を持っている
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