多分おずおずとつぶやいた。「伯父様《おじさま》、こんにちは。」そして、軍隊式敬礼の無意識的な機械的な型を普通の敬礼の型にくずした中間のおじぎをした。
「あーお前か。よくきた。まあすわるがいい。」と祖父は言った。
 しかしそう言ったばかりで、彼はすっかり槍騎兵《そうきへい》のことを忘れてしまった。
 テオデュールはすわったが、ジルノルマン氏は立ち上がった。
 ジルノルマン氏は両手をポケットにつっ込んで、室《へや》をあちらこちら歩き出し、二つの内隠しの中に入れていた二つの時計を、年老いた震える指先でいじりながら、声高にしゃべり出した。
「鼻ったらしどもが! パンテオンの広場に集まる。ばかな! 昨日《きのう》まで乳母《うば》がついていた小僧のくせに。鼻をすったら乳が出ようという奴《やっこ》どもが。それで明日《あす》正午に評議する! こんなありさまでどうなるんだ。どうなるんだ。世はまっ暗やみになるのはわかりきってる。シャツなしども(革命共和党)のおかげでこんなことになるんだ。市の砲兵! 市の砲兵のことを評議する! 国民軍の大砲の音について、はばかりもなく外に出てきてがやがやしやがるとは。しかも
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